2026年10月版
酷暑の下8月まで続いた調整局面は9月以降設備投資を中心に立ち直るか

【8月まで調整局面が続いたあと、設備投資中心に立ち直り始めるか】
 生産、出荷の調整局面は、8月まで続いたあと、秋に入り、民間設備投資を中心とする内需に主導されて緩やかな回復軌道に入ると予測される。7〜9月期の実質GDP統計は、酷暑の影響で国内民間需要が足踏み気味となり、4〜6月期に続いて冴えない数字となるのではないか。
 しかし、そのまま景気後退局面に入るのではなく、9月調査「日銀短観」に示された強い設備投資計画の実施と共に、9月以降再び立ち直ってくるシナリオが考えられるのではないか。

【生産、出荷は8月まで調整のあと、9月から上昇の気配】
 鉱工業生産は7月前月比−0.2%、8月同−1.7%と2か月連続して小幅に下落した。しかし、製造工業生産予測指数によれば、このあと9月の前月比+3.2%上昇、10月は+3.1%上昇と2か月続いて大きく回復する見込みとなっている(図表)。ならして見れば、一進一退のうちに小幅の回復基調は保たれているようだ。このような大きな振れを伴いつつ上昇している中心業種は、半導体・AIなど電気・情報通信機械、電子部品・デバイス工業などである。
 7月の鉱工業出荷は、前月比−2.5%とやや大きく落ち込み、このうち国内向け出荷も同−2.5%減となった。これに輸入(前月比+1.2%)を加えた国内総供給も、−2.2%減となり、半年振りの減少となった。
 しかし、国内の設備投資の強さを反映し、資本財(除、輸送機械)の国内向け総供給は、後述のように、前月比+3.9%と高い伸びを続けている。

【実質賃金の前年比は2月以降8月までプラス】
 8月の「家計調査の消費支出(季調済み、実質)は前月比+0.1%の微増と2か月連続して増加したが、日銀「実質消費活動指数(同)」は、3か月振りに前月比微減した(図表2)。消費動向調査の「消費者態度指数」は、5月から8月まで3か月連続して回復していたが、9月は前月比−0.1%と横這い圏内の減少となった。両指数共、回復過程の一服に見える。
 本年のベアを反映し、実質賃金の前年比(図表2)は2月以降8月までプラスとなっており、これが消費回復を支えていると見られる。
 他方雇用情勢は、企業の人手不足を背景に逼迫気味に推移しており、雇用者数は4月に大きく増加したあと、徐々に減少しているようだ。

【本年度の設備投資計画は3か月前よりも更に上方修正】
 企業の設備投資のうち、毎月の機械への投資を示す資本財(除、輸送機械)の国内総供給(国産資本財<除く、輸送機械>の国内向け出荷と輸入の合計)は、8月に前月比+3.9%と7月の同+5.0%に続き2か月連続して大きく増加した(図表1)。設備投資の進展を反映し、機械への需要は強いようだ。
 9月調査「日銀短観」の本年度設備投資計画(ソフトウェア・研究開発を含み、土地投資を除く、金融機関を含む全産業)は、前年度比+9.4%増と3か月前の調査+8.5%に比べて更に上方修正された。ソフトウェアを中心とする設備投資意欲の強さを示している。

【7〜9月期成長率への外需寄与度はマイナスか】
 GDP統計の外需に対応する国際収支統計の貿易サービス収支(季調済み)は、8月も6484億円の大幅赤字であった(図表2)。4〜6月期の貿易サービス収支は、1〜3月期よりも縮小し、成長率に対して0.%のプラス寄与となったため、国内需要の弱さを補ってGDP成長率を横這いとすることができたが、7〜9月期の外需寄与度は、内需の成長率寄与度のマイナスが大きく、プラス成長の実現は難しい。