2026年8月版
個人消費、設備投資中心に緩やかな景気回復が続く

【4〜6月期は前期を上回る成長率か】
 景気は個人消費、設備投資など国内民間需要に支えられ、引き続き緩やかな回復を続けているが、今後は熊本地震の影響がどうような形で出てくるか、心配される。
 個人消費は、実質賃金の上昇持続と堅調な雇用に支えられ、着実に拡大している。設備投資も緩やかながら、半導体、AIなど技術革新投資も加わって増勢を続けている。
 これらを反映して、6月の「景気動向指数」は、前月小幅下落のあと再び上昇し、3〜4月の緩やかな上昇軌道に戻った。6月の「景気ウォッチャー調査」では、景気の「現状判断DI」が3、4月に下落したあと、5、6月には再び上昇し、「先行き判断DI」は4、5,6月と3か月連続して上昇している。
 中東軍事動乱の影響で、一時減った原油・ナフサなどの輸入も、ここにきて反動的に増加し、貿易収支は一時的に悪化している。
 4〜6月期の実質GDPは、国内民間需要を中心に、緩やかながら前期を上回る増加率になったと思われる。

【内需に支えられて鉱工業生産、出荷は緩やかな増勢】
 6月の鉱工業生産は、前月比+1.3%と3か月連続して増加した(図表1)。他方出荷は同−0.4%と3か月振りに微減したが、4〜6月期を平均すると、前期比+0.4%と3四半期連続して増加しており、緩やかな増勢に変化はない(図表1)。
 6月の出荷減少は、主として輸出の減少によるもので、国内向け出荷はほぼ横這いであった。
 製造工業生産予測調査によると、7月は同+1.2%、8月は同+4.5%と増勢が続く予測である(図表1)。6〜8月の生産増勢を支える主な品目は、生産用機械、電気・情報通信機械、電力部品・デバイスなどの日本の主力資本財産業である。
 しかし7月末の熊本大地震の影響は、今後主として8月以降の自動車関連、半導体、製紙などに現れ、鉱工業生産、出荷に響いてくるものと思われ、製造工業生産予測調査も下方修正されよう。

【実質賃金の増加と雇用堅調の支えで消費は順調に拡大】
 国内需要の動向を見ると、6月の「家計調査」の実質消費支出(季調済み)と日銀推計の「実質消費活動指数」(同、図表2)は、いずれも前月比僅かに減少したが、両調査の4〜6月平均の前期平均比は、+1.4%、+1.2%の増加といずれも増勢を続けている。7月の「消費動向調査」の「消費者態度指数」は3か月連続して増加しているが、これは「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」が揃って3か月続けて好転しているためである。
 6月の実質賃金は大企業の夏期ボーナスの順調な伸びを反映して、前年比+1.6%と6か月連続して前年を上回った(図表2)。他方、6月の雇用者数(季調済み、図表2)はやや減少したが、これは4月に大きく増加した反動で、4〜6月期としては前期比+57万人の増加であった。
 消費動向は、賃金・雇用者増勢の緩やかな回復傾向を背景に、順調な推移を続けている。

【設備投資は引き続き順調に拡大】
 設備投資の動向を見ると、機械投資の動向を反映する資本財(除、輸送機械)の国内総供給(国産品の国内向け出荷と輸入の合計)は、6月に前月比−0.6%と微減したが、4〜6月期を合計すると、前期比+4.1%の増加であった(図表2)。
 日本経済新聞の調査によると、本年度の設備投資計画は、データセンターやAI関連投資の裾野の広がりなどを反映して、前年比+14.2%と伝えられる。やや大きめに出る傾向はあるとしても、日銀「短観」の調査などと併せて、本年度の設備投資の堅調を示している。
 先行指標の機械受注(民需、船舶・電力を除く)は、5月に前月比−12.4%減と高水準のまま月毎に一高一低を繰り返している(図表2)。10〜12月、1〜3月に前期比+6.6%、+6.4%と大きく増加したあと、4〜5月平均は、1〜3月期の月平均に比し、−0.6%とほぼ横這いであった。

【原油を中心とする輸入の反動増で6月の貿易収支は悪化】
 GDP統計の「純輸出」に対応する6月の国際収支統計の「貿易・サービス収支」(季調済み、以下同じ、図表2)は、8969億円の赤字となったが、4月に大幅な黒字となっているので、4〜6月期の赤字は1994億円と1〜3月期(3041億円の赤字)よりも縮小した(図表2)。
 6月の赤字拡大は、主として貿易収支が前月の黒字(2045億円)から赤字(5808億円)に変わったためで、通関統計によると、原粗油の輸入が前年比+59.3%と大きく増加したことが、貿易収支悪化の主因であり、一時的と見られる。
 近く公表される4〜6月期の実質GDP統計では、「純輸出」が成長にプラス寄与するのではないか。また国内民需の個人消費が順調に伸び、設備投資も底固いので、1〜3月期(前期比+1.8%増)をやや上回る成長率となるのではないか(図表3)。