2026年4月版
中東紛争勃発に伴い3月以降の景況感は悪化

【景気は2月まで順調に回復、3月以降景況感は急変】
 2月末から始まり4月まで続いている米国・イスラエルのイラン軍事侵攻に伴い、中東の主要石油供給ルートであるホルムズ海峡がイランによって封鎖され、日本を含む世界の非産油国の景況感は3月以降一斉に悪化している。
 中東紛争が始まる前の本年2月迄の日本の景況感を示す指標は、3月公表「日銀短観」の最近の「業況判断DI」、3月公表「景気動向指数」の1月の「CI一致指数」、3月公表「景気ウォッチャー調査」の2月の「現状判断DI」など、いずれも好転をしめしており、2月までは景気が順調に回復していたことを示している。
 しかし、3月公表「日銀短観」の先行きの「業況判断DI」、3月公表「景気ウォッチャー調査」の3月の「現状判断DI」と「先行き判断DI」は、いずれも悪化し、3月から景況感に変化が生じたことが明らかである。
 現在入手可能な景気指標の多くは、景況感が悪化する前の指標である。景気回復を支えてきた国内民間需要を見ると、例えば「日銀短観」の26年度設備投資計画は、25年度の同時期の当初計画と同じ伸びを示している。「消費動向調査」の「消費者態度指数」も、2月までは改善傾向が続いている。
 3月以降、これらの国内民間需要がどのような推移を示すかが注目される。

鉱工業製品の国内総供給は2月まで順調】
 2月の鉱工業生産と出荷は、前月比、夫々−2.1%、−1.6%と1月に大きく増加(前月比夫々+4.3%、+3.8%)した反動もあって、減少した。しかし製造工業生産予測調査によると、3月は同+3.8%、4月は同+3.3%といずれも大きく伸びる計画となっている。これが中東紛争の影響で、どのような影響を受けるか注目される。
 2月の出荷を国内向けと輸出に分けると、国内向けは前月比−1.0%と小幅減少にとどまっているが、輸出は同−3.7%とやや大きく減少した。一方、国内向け出荷に輸入を加えた国内総供給は、輸入が同+7.7%とやや大きく伸びたため、同+1.0%と3か月連続して増加し、2月迄の国内需要の根強さを窺わせる。

【特殊要因もあって実質賃金の前年比は2月も前月に続き上昇】
 国内需要の動向を見ると、2月の「家計調査」の消費支出(季調済実質)は前月比+1.5%の増加、日統計の2月の消費活動指数(同)は同−0.3%の微減と区々であった。「消費動向調査」の「消費者態度指数」は、昨年12月に前月比微減したほかは、昨年8月から本年2月まで一貫して上昇しており、2月も前月比+2.1%の上昇であった。2月までの消費態度は引き続き確りしている。
 2月の消費者物価指数は、総合で前年比+1.3%、生鮮食品とエネルギーを除くと同+2.5%(図表2)と上昇幅を縮小し、総合で実質化した実質賃金(図表2)は前年比+1.9%と前月(同+0.7%)に続き2か月連続してプラスとなった。消費者物価の前年比上昇幅の縮小は、ガソリンの旧指定税率廃止、電気・ガスの補助金、公立高校授業料無償化拡大などが響いている。しかしこのような特殊事情があるにせよ、現実の消費者物価上昇率が低下していることが、消費態度を支えている。
 基調的な消費者物価上昇率を調べるため、日銀が推計した2月の「生鮮食品・エネルギー・特殊要因を除く消費者物価」は、前年比+2.7%の上昇とまだかなり高い。

【26年度設備投資計画は前年並みの伸び】
 設備投資の動向を見ると、「日銀短観」の設備統計計画(全規模全産業、ソフトウェア・研究用開発投資を含み土地投資を除く)は、3月に終わった25年度が前年比+7.9%とかなり高かった。26年度の計画は、期初のため同+1.3%と低いが、25年度の期初計画をやや上回っている。
 機械投資の動向を示す2月の資本財(除、輸送機械)国内総供給(国産品の国内向け出荷と輸入の合計)は、前月比+1.0%の増加、昨年10〜12月平均比+0.3の増加であった(図表2)。
 先行指標の機械受注(民需、除船舶・電力)の動向を見ると、四半期ベースでは昨年10〜12月期(前期比+6.6%)まで7〜9月期を除き、4四半期連続して増加している(図表2)。

【2月の貿易サービス収支は1月の大幅黒字の反動で赤字】
 GDP統計の「純輸出」に対応する国際収支統計(季調済み)の貿易・サービス収支は、1月に4136億円の大幅黒字を出した反動で、2月は7676億円の大幅赤字となった(図表2)。これは中国の春節(2月17〜23日連休)の影響で、中国向けの輸出(通関ベース)が前年同月比で1月の+32.0%から2月の−10.9%へ大きく振れたことの影響が大きい。
 1〜2月の貿易サービス収支の合計は3539億円の赤字と、月平均で見ると7〜9月(8374億円赤字)と10〜12月(3853億円赤字)の中間程度の大きさである(図表2)。
 今後はホルムズ海峡封鎖の影響から、原油を中心に、世界経済の動向に波乱が予想され、日本の貿易動向が注目される。