2026年3月版
年明け後の景気回復の足取りは国内民需の支えに輸出増加も加わり、引き続き順調

【設備投資、個人消費など国内民需の支えに加え、1月は輸出も大きな伸び】
 10〜12月期の実質GDP(2次速報)は、設備投資と個人消費の上方修正を主因に、前期比+0.1%(年率換算+0.2%)から同+0.3%(同+1.3%)へ上方修正され(図表3)、2025暦年の実質成長率も+1.1%から+1.2%へ僅かに上方修正された。
 年明け後、1月の「景気動向指数」は投資財出荷と商業販売額(小売業)を中心に前月比大きく上昇し、2月の景気ウォッチャー調査の「景気の現状判断DI」も、家計動向、企業動向共に上昇している。
 設備投資は引き続き根強い増勢を保っているいが、ここへ来て個人消費も、1月の実質賃金が13か月振りに前年比プラスに転じたこと(図表2)もあって、やや確りしてきた。実質賃金がプラスに転じた一因は、ガソリン減税の効果などから、1月の消費者物価前年比が2%台に下がってきたためである(図表2)。1月と2月の「消費者態度指数」も前月比やや大きく上昇した。
 この間外需は、1月の対米輸出が2か月連続して前年比減少したものの、対EU、対アジア(中国を含む)向けが大きく伸びているため、1月の国際収支統計の輸出全体(季調済み)は、前月比+8.6%増加し、貿易・サービス収支(同)は大幅な黒字となった(図表2)。

【生産、出荷は1月にやや大きく上昇したあと2、3月は足踏みか】
 1月の鉱工業生産と出荷は、前2か月減少の反動もあって、前月比夫々、+2.2%、+3.2%、とやや確りした増加となった(図表1)。出荷を国内向けと輸出に分けると、国内向けは前月比+1.6%、輸出は同+5.8%と輸出の増加が目立つ。国内向け出荷に輸入を加えた国内総供給は、同+0.5%であった。
 製造工業生産予測調査によると、2月は前月比−0.5%、3月は同−2.6%と続落の予想となっており(図表1)、仮に鉱工業生産が同じように推移すると、1〜3月期は前期比0.1%となる。昨年4〜6月期から3四半期続けて増加してきた鉱工業生産は、1〜3月期に足踏みとなるかもしれない。国内設備投資の根強い増勢との間に、やや違和感がある。

【名目賃金上昇率がやや高まり、物価上昇率も徐々に低下して実質賃金は13か月振りに前年比プラス】
 国内需要の動向を見ると、1月の「実質消費活動指数(日銀推計)」は、前月比+0.6%、10〜12月比+0.7%と増加しているが、1月の「家計調査」の実質消費支出は前月比−2.5%、10〜12月比−2.2%と減少しており、区々である。
 消費者の態度を調べる「消費動向調査」では、「消費者態度指数」が、1月、2月と上昇している。年明け後の賃金と物価の動向を見ると(図表2)、まず名目賃金の動向では、所定内給与(基本給)の前年比が昨年の春闘の賃上げと最低賃金引上げの波及からジリジリ上昇して、本年1月に実に33年振りに3%に達した。この結果、1月の名目賃金全体も前年比+3%となったことが注目される。他方、消費者物価の基調的上昇率に近い「生鮮食品とエネルギーを除く」指数(図表2)の前年比が、1月は2.6%まで下がった。従って、1月の実質賃金の前年比がプラスに転じたのは、必ずしも一時的な減少ではないかもしれない。そうだとすれば、年明け後の消費者態度指数の上昇には、基調的変化が入っている可能性がある。
 もっとも、中東戦争と円安が長引いてエネルギー資源の輸入価格が上昇してくると、再び国内の消費者物価上昇率も高まり、消費者の態度が弱まる可能性もある。

【設備投資の増勢は持続、住宅投資は久方振りに増加】
 次に設備投資の動向を見ると、10〜12月期の「法人企業統計調査」の設備投資(季調済み)は前期比+3.5%の大きな増加となり、これを反映して10〜12月期実質GDP統計の2次速報値では、設備投資が1次速報値の前期比+0.2%(GDPへの寄与度0.0%)から+1.3%(同+0.3%)へ大きく上方修正された。
 年明け後1月の資本財(除、輸送機械)の国内総供給(国産品の国内向け出荷と輸入の合計)は、10〜12月期の大幅増加(前期比+5.1%)の反動もあって、前月比−0.8%と減少した(図表2)。一方、先行指標の機械受注(民需、除船舶・電力)は、12月に前月比+19.1%と大きく増加し、10〜12月期も前期比+7.9%と大きく伸びた(図表2)。
 10〜12月期の民間住宅投資は、前期減少(7〜9月期の前期比−8.4%)の反動もあって、前期比+4.9%(成長率への寄与度+0.2%)となった。先行指標の新設住宅着工戸数(季調済み、年率)は、10〜12月期が前期比+5.1%、1月は10〜12月平均比横這いとなっており、1〜3月期の住宅投資も増勢を続けると見られる。

【1月の輸出は対EU、アジア中心に大きく増加】
 最後に外需の動向を見ると、10〜12月期の実質GDP統計における「純輸出」の経済成長に対する寄与度はゼロであったが(図表3)、「純輸出」に対応する国際収支統計(季調済み)の「貿易サービス収支」は、1月に入って4,137億円の大幅黒字となった(図表2)。これは、1月の輸出が10兆1013億円と前期の月平均(9兆2706億円)比+9.3%の大幅増加となったためである。通関統計によって輸出先別に見ると、米国への輸出は−5.0%と2か月連続して前年を下回っているが、対EU、対アジア(中国を含む)は前年比夫々+29.6%、+32.0%と大きく伸びている。その結果、1月全体の輸出(通関ベース)は、前年比+16.8%、季調済み前月比+9.9%の大きな伸びとなった。また国際収支統計の1月の輸出は、10〜12月の月平均比+9.3%とこれも大きな伸びを記録している。
 米国・イスラエルとイランとの戦闘が今後どの程度長引き、世界経済にどの程度響いてくるかによって、今後の日本経済に対しても、輸出入を通じてさまざまの影響が及んでくることとなろう。