2026年1月版
トランプ関税の輸出に対する悪影響は徐々に薄れ、日本経済は国内民需を中心に引き続き緩やかに回復

【日本経済は国内の設備投資と輸出の回復に支えられ引き続き緩やかに成長】
 年末年始の日本経済は、引き続き緩やかな回復軌道を進んでいる。
 12月調査「日銀短観」の「業況判断DI」(全規模全産業)は、製造業を中心に、前回9月調査に比して好転した。日本経済の輸出に対するトランプ関税の悪影響は、次第に小さくなり、11月は対米輸出を含む輸出の伸長から、貿易・サービス収支は、大幅な黒字となった(図表2)。
 11月の「景気動向指数」は3か月振りの下降となり、12月の「景気ウォッチャー調査」の「景気の現状判断DI」も、6か月連続上昇の後、11〜12月と2か月連続して低下した。しかし11月の「景気動向先行指数」は7か月連続して上昇しており、12月の「景気ウォッチャー調査」の先行き判断DIも上昇している。
 日本経済は、国内の民間需要、とくに設備投資に支えられて、引き続き緩やかな回復軌道を歩んでいる。

【11月の鉱工業生産と出荷は一時的に低下】
 11月の鉱工業生産は3か月振りに、出荷は2か月振りに下落した(図表1)。しかし製造工業生産予測調査では、12月と1月に再び大きく上昇する見込みとなっているので、11月の下落は一時的な足踏みと見られる。
 11月の出荷減少は、前月にやや大きく伸びた国内向け(10月の前月比+2.9%)が同−2.7%と反動減になったためで、11月の輸出は同+1.5%と2か月連続して増加している。11月の国際収支統計の輸出は前月比+5.3%、通関統計の輸出は同+3.4%と共に増加しており、トランプ関税の悪影響一巡から、輸出は立ち直ってきたと見られる。
 11月の国内向け出荷に輸入を加えた国内総供給は、前月比−0.4%と、2か月増加のあと減少した。これは国産品への国内向け出荷が前述のように減少したためで、輸入は同+1.3%の増加であった。
 11月の生産・出荷の減少、12月の反動増となる業種で目立つのは、電気・情報通信機械である。

【個人消費は物価高騰下雇用に支えられて増勢維持、住宅投資は落ち込みから回復】
 国内需要の動向を見ると、11月の家計調査の「実質消費支出」(季調済み)は、前月に前月比−3.5%と下落した後、同+6.2%と再び大きく増加した。また11月の「実質消費活動指数」(日銀推計、季調済み)も前月比増加した(図表2)。12月の「消費動向調査」の「消費者態度指数(季調済み)」は、11月まで4か月連続して上昇し、とくに11月は前月比+1.7%と大きく上昇した後、12月は前月比−0.3%の小幅低下となった。
 総じて見れば、消費者物価が前年比+2.9〜3.0%上昇し、実質賃金が前年比下落を続けている下で(図表2)、実質個人消費は健闘している。それを支える一つの柱は、雇用情勢が堅調を続けていることであろう(図表2)。
 実質GDP統計の民間住宅投資は、7〜9月期に前期比−8.2%と大きく落ち込み、7〜9月期の実質成長率に対するマイナスの寄与度が−0.4%とやや大きかったが、先行指標の「新設住宅着工戸数(季調済年率)」を見ると、4〜6月期に前期比−32.3%と大きく落ち込み、7〜9月期のGDP統計の住宅投資を大きく下落させた後、7〜9月期は同+19.4%と大きく回復し、更に10〜11月の月平均は、7〜9月期の月平均に比し更に+5.9%増加している。この推移から推察すると、10〜12月期の住宅投資は、7〜9月期と様変わりとなり。実質成長率に対してプラスの寄与となろう。

【設備投資は底固く推移】
 設備投資の動向を見ると、機械投資の動向を反映する資本財(除、輸送機械)の国内総供給は、3か月連続して増加した後、11月は前月比−0.1%と横這い圏内の微減となった(図表2)。先行指標の機械受注(民需、除船舶・電力)は、前月比で9月は+4.2%、10月は同+7.0%と2か月連続してやや大きく伸びた(図表2)。10〜12月期の見通しは、前期比+0.2%である。機械投資は、引き続き底固く推移している。
 12月「日銀短観」の本年度設備投資計画(金融機関を含む全産業、ソフトウェア・研究開発を含み土地投資を除く)は、3か月前の調査結果と変わらない前年比+10.3%であった。設備投資は底固く、引き続き景気回復を支えている。

【4〜10月と減少した対米輸出が11月に増加に転じ、11月の貿易・サービス収支は大幅な黒字】
 最後に外需の動向を見ると、GDP統計の「純輸出」に対応する国際収支統計(季調済み)の「貿易・サービス収支」は、前月に1571億円の大幅赤字を記録した後、11月は1678億円の大幅黒字となった。貿易収支の黒字が、輸出の伸長(前月比+5.3%)から4507億円(前月は856億円)に達したためである。
 11月の輸出伸長の原因を通関統計によって調べて見ると、対米国の輸出は、トランプ関税が実施された4月から10月まで、7か月間前年を下回っていたが、11月になって始めて前年比+8.8%の増加に転じている。これは日本の対米輸出の体制が、トランプ関税への適応を進めてきた結果と見られる。
 昨年7〜9月期の実質GDP(2次速報値)は、国内民間需要(とくに住宅投資)と外需が共に減少したことから、前期比−0.6%の減少となったが、10〜12月期は国内民間需要(とくに住宅投資)と外需が共に立ち直り、再び緩やかなプラス成長に戻る可能性が高い。