2024年1月版
消費態度、投資計画には意欲があるが、物価高騰で「実質」支出がついて行けず、現実の回復テンポは緩やか

【実質国内民需が物価高騰下で立ち直らず、円安・株高にバブル的な動き】
 日本経済は、物価高騰に伴う民間需要の停滞、および世界のエネルギー資源インフレと景気減速に伴う貿易収支の悪化から、昨年7〜9月期は4四半期振りのマイナス成長となったが、10〜12月期は国内民間需要の立ち直りと、インバウンド増加によるサービス収支の大幅改善もあって、再びプラス成長に戻っている。
 しかし、2月の「景気ウォッチャー調査」の個人消費の態度や、10〜12月期「法人企業景気予測調査」の設備投資の計画には共に前向きの意欲は見られるものの、長続きする物価高騰で「実質」支出がついて行けず、いずれも実績には勢いがない。
 マイナス短期金利の解除など異次元金融緩和の正常化が遅れる中で、円安、株高などのバブル的なブームは起こっているが、実体経済にははっきりした立ち直りの動きが見られない。

【生産、出荷は一進一退のうちに僅かに上昇傾向】
 11月の鉱工業生産と出荷は、夫々前月比−0.9%、同−1.3%と、前2か月増加のあと3か月振りに減少した。製造工業生産予測調査によると、12月は同+6.0%とやや大きく増加したあと、1月は再び同−7.2%と大きな反動減となる(図表1)。10〜12月期の生産は、前期減少のあと再び増加となり、一進一退のうちに緩やかな上昇を続けている。
 11月の出荷を輸出と国内向けに分けると、減少したのは輸出で、9月に大きく増加(前月比+10.0%)したあと2か月連続して落ち込んでいる。国産品の国内向け出荷は10月、11月と2か月連続して増加している。
 これに輸入を加えた国内総供給は、10月まで5か月連続して増加していた輸入が前月比−2.9%と減少したため、全体も同−1.7%の減少となった。

【消費者態度の積極化が、現実の消費支出に結び付いていない】
 11月の「家計調査」の消費支出(季調済実質指数)は、前月比−1.0%の減少となり、「実質消費活動指数+」(日銀試算)は前月比横這いとなった(図表2)。
 他方、12月「消費動向調査」の「消費者態度指数」は3か月連続して上昇している。アフターコロナの消費者には購買意欲が窺われるが、物価高騰下、現実の実質消費の回復は勢いを欠いている。11月の実質賃金は、前年比−3.0%と22年4月以来のマイナスを続けている。
 この間、11月の就業者、雇用者は前月減少のあと増加し(図表2)、完全失業率は2.5%と前月比横這いであった。人手不足の下、雇用の動きは小さい。

【設備投資の実績は「計画」ほど強くないが増勢を維持】
 23年10〜12月期の「法人企業景気予測調査」によれば、全規模・全産業の本年度設備投資計画(ソフトウェアを含み、土地投資を除く)は前年比+11.1%と引き続き2桁の伸びを維持しており、とくに大企業製造業(同+19.7%)と中堅企業非製造業(同+15.3%)の伸びが高い。また23年10〜12月期の設備投資計画(同)は前年比+23.4%(製造業は同+34.3%)と高い伸びとなった。先行指標の機械受注(民需、除船舶・電力)は、9月に前月比+1.4%の増加となったあと、10月も+0.7%と2か月連続の増加となった(図表2)。
 他方、機械投資を反映する資本財出荷(除、輸送機械)は、11月に前月比−4.1%と月毎に増減を繰り返している(図表2)。

【10〜11月の貿易・サービス収支の赤字は大きく縮小】
 最後に外需の動向を見ると、GDP統計の「純輸出」に対応する国際収支統計の「貿易・サービス収支」は前月大幅黒字(3274億円)のあと、11月は再び8291億円の赤字に戻った(図表3)。これはコロナ後のインバウンド(訪日外国人)の増加が月によって計上の振れが大きいためと見られる。
 しかしならして見れば、10〜11月の貿易・サービス収支の月平均は、2508.5億円の赤字と7〜9月期の月平均(6651億円)を大きく下回っている。12月の動向にもよるが、10〜12月のGDP統計が「純輸出」の好転によって再びプラス成長に戻ることは、ほぼ確実であろう。
 この間貿易収支の動向は、原油、LPGなど鉱物性エネルギー資源の輸入が、量、価格共に急増した22年度の大幅赤字のあと、23年度に入って、世界的なエネルギー資源価格高騰の落ち着きから、赤字は縮小している。