ドクター鈴木経済学博士  
やさしい月例景気見通し
自由党衆議院議員 鈴木淑夫 2003年8月号

【明るい兆は広がらず株価回復は一服】
   日本の株価は、日経平均で7千円台から9千円台に回復しましたが、その後この1ヶ月間は1万円を突破できず、9千円台でダラダラと下っています。株価が少し戻ったのは、日本経済の先行きに多少の明るい兆が見えてきたからですが、その一部の兆が経済全体に広がる様子がないため、やはりダメかという気分になっているのだと思います。
   今の日本経済は、回復の気配が出ている部分と、相変わらず停滞している部分に両極分解したままで、その中で明るい部分が暗い部分に広がって行く気配が見えないのです。
   それと言うのも、回復の兆が見えるのは、輸出関連の大企業製造業と、デジタルカメラ付携帯電話や薄型液晶テレビといった一部の商品だけだからです。百貨店とスーパーの合計売上高が本年4〜6月期も前年水準を3.4%下回っていることからも分かるように、商店街の一般の商いは今も景気後退のまっただ中にあります。

【輸出関連の大企業製造業は賃金や投資を増加】
   明るい部分の話としては、経団連調べの夏のボーナスが、213社(大企業)平均で806,056円となり、昨年夏のボーナスを4.74%上回ったという話題があります。本年4月のベア率が、同じ経団連調べで6年振りに前年を上回ったという話題に続く明るい話です。このため一人当りの名目賃金は、本年5月と6月に6年振りに前年を上回りました。
   もっとも、大企業製造業はリストラで雇用を減らして収益の改善を図っている状況ですから、一人当り賃金は増えても賃金の支払い総額は依然として前年を下回っています。商店街の売上げが増えないわけです。
   大企業製造業は、収益の改善で設備投資を増やす計画もしています。もっともこの場合も、すべてが国内工場に向かう訳ではなく、海外工場への投資がありますから、国内景気への影響は限られます。

【国内経済は自分の力で回復できる状態にはない】
   国内に目を転じると、個人消費は前述したデジカメ付携帯電話や液晶テレビなど一部を除けば、依然として冴えません。住宅投資は、年末に住宅投資減税の期限が切れるので戸建て持家の駆込み着工が一時的に増えている程度で、年後半にはその反動減が出るでしょう。公共事業は国家予算を削減しているうえ、地方自治体は財源が無くて単独事業を抑えていますので、どんどん減っており、景気の足を引張っています。
   年後半に向けて少しは期待出来そうなのが輸出と設備投資です。米国の景気立直りにつれて、現在落込んでいる輸出は年後半には増えそうです。もっとも来年については、米国経済が息切れを起こす可能性があります。設備投資は大企業製造業で増えてきそうですが、全体としては景気を引張る力は限られます。
   政府は明るい話題ばかり強調して、放っておいても日本経済は回復するような事を言っていますが、私は今こそ国内需要喚起策を打って、回復を確実なものにしなければ、再び停滞に陥ると思います。思い切った規制撤廃でビジネスチャンスを増やすこと、防災、環境、交通の観点から世田谷のような大都市の再整備を強力に進めること、など打つ手は沢山あります。



鈴木よしおは、民主・自由両党の合併後も、新しい政権受皿政党における世田谷の中心として、また政策作りの中心として、頑張ります。

 

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