ドクター鈴木経済学博士  
やさしい月例景気見通し
自由党衆議院議員 鈴木淑夫 2003年2月号

【景気は冷え込み始めマイナス成長も】
   年明け後の景気は残念なことに少し冷え込んできたようです。荷動きが鈍いせいか、街の中や首都高速の車の流れがよくなっています。
   一番冷えているのは個人消費です。去年の夏は異常に暑かったので夏物商品がよく売れ、デジカメ付携帯電話の人気もあって9月頃まで消費は全体として落ち込んでいませんでした。しかし雇用の減少やボーナスの抑制で所得が減っているのですから、消費が何時までも落ちない筈はありません。10月以降、百貨店とスーパーの売上や自動車販売がはっきりと低下してきました。このように消費が弱いため、間もなく発表になる10〜12月期の経済成長率はマイナスになるかも知れません。そうなると、去年の1〜3月期がゼロ成長、4〜6月期と7〜9月期がプラス成長のあと、10〜12月期がマイナス成長となりますから、政府が宣言した「景気底入れ」は極めて短命であったことになります。

【米国向け輸出に頼る回復では駄目】
   既に発表されている生産活動の数字をみると、10〜12月期は4四半期振りのマイナスになっています。このため失業率は、戦後最悪の5.5%に上昇しています。何故日本経済はこんなに元気がないのでしょうか。この「やさしい景気見通し」で何回も指摘していたように、去年の「景気底入れ」は米国経済の一時的回復で日本の輸出が伸びたためです。10〜12月期の米国経済は再び減速しており、本格的立ち直りは見られませんから、輸出頼みの日本の景気も一時的にしか元気が出なかったのです。

【増加した企業収益が前向きに使われない理由】
   しかし、日本経済に元気が出ないより根本的な理由は、国内にあります。第一に、たとえ一時的にせよ輸出の増加で生産が拡大し、収益が増加しても、その利益を使って設備や雇用を増やそうとしないことです。利益はバブル期に購入して値下がりした不動産の損切り売りとか、無駄な投資をした設備の償却とか、過大な借り入れの返済とか、過去の失敗の後始末に使われています。これを銀行の側から見れば、不良債権の処理ということです。
   第二に、10年間の経済停滞に直面し、企業はコストの切り下げに一生懸命です。給与が割高の40才台、50才台の男子世帯主の常用雇用を削減し、若年者や女性の臨時雇用と時間外勤務で企業活動を維持する傾向を強めています。いわゆるリストラです。また昇給をストツプしボーナスをカットしています。ですから個人所得は減る一方です。

【明るい展望を示せない小泉改革】
   第三に企業は、小泉改革の下では先行きに明るい展望を持てないことです。小泉さんは改革に伴なう痛みに2〜3年耐えれば、日本経済の持続的成長が始まると言っていました。しかし3年目とは今年2003年のことです。そこで小泉さんは、今年の国会の施政方針演説で、改革は道半ばであり2005年までかかると言い出しました。小泉不況、小泉デフレはまだ2〜3年続くということです。これでは、企業は先行きに不安を感じて思い切った事業の拡張やそれに伴なう設備投資や雇用の拡大にふみ切れません。その上、国際的にはイラク情勢がどうなるかという不安要因もあります。私は国民に確りした展望を示し、その裏付けとなる政策を示せない政府は退陣すべきだと考えます。


御礼ご挨拶
1月25日【土】の鈴木淑夫後援会支部連合会には、
1000人を超す支援者が世田谷区民会館ホールにあふれ、
小沢党首、藤井幹事長、私の講演を聞いて下さいました。
有り難うございました。

 

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